リース満了で選べるのは再リース・返却・買取・入れ替えの4つです。再リース料はそれまでの契約月額の2ヶ月分で1年延長が一般的な相場で、月額15,000円だった機械なら年30,000円、月あたり2,500円になります。 ただしカウンター料金はそのまま続きます。月26,850円のカウンター料金があれば実質は月29,350円で、カウンター料金0円機に入れ替えた場合の17,570円と比べて月11,780円の差が出ます。 加えて、撤去とデータ消去には3万〜5万円程度がかかり、これは1年後に返却するときにも同じように発生します。
リース満了のご案内が届くのは、たいてい満了の3ヶ月ほど前です。書面には「再リース」「返却」といった言葉が並んでいますが、それぞれが実際にいくらかかり、何をしなければいけないのかまでは、あまり詳しく書かれていません。 結果として「とりあえず再リースで」と流れていくケースが多いのですが、この判断は一度立ち止まって数字を出す価値があります。 このコラムでは、満了時の4つの選択肢と、返却するときに実際に何が起きるのか、そして機械の中に残った情報をどう消すのかを、実務の手順に沿って整理します。
1. リース満了で選べるのは4つ
再リース・返却・買取・入れ替え。どれを選ぶかで、その後5年の費用も手続きの手間も変わります。 まず全体像を整理します。リース契約が満了を迎えたとき、選択肢は次の4つです。
- 再リース:同じ機械をそのまま使い続ける。契約を1年単位で延長します
- 返却:機械をリース会社に返す。撤去と搬出が発生します
- 買取:機械を買い取って自社資産にする。以後リース料はかかりません
- 入れ替え:新しい機械に切り替える。旧機は返却されます
このうち、案内書面でいちばん目立つ形で提示されるのが再リースです。手続きが簡単で、機械も変わらず、月々の金額も下がる。担当者の立場からすれば、いちばん選びやすい選択肢に見えます。
ただ、この4つは「月額いくらか」だけでは比べられません。再リースには保守費用が別についてきますし、返却には撤去費用がかかります。買取は買取額が残価によって大きく変わります。それぞれ性質が違うので、順番に見ていきます。
2. 再リースは「月2,500円」ではない
再リース料が安く見えるのは、そこにカウンター料金が含まれていないからです。保守は満了しても続きます。 再リース料の相場は、それまでの契約月額の2ヶ月分で1年延長という形が一般的です。月額15,000円で契約していた機械なら、年間30,000円。月あたりに直すと2,500円です。
15,000円が2,500円になるわけですから、数字だけ見れば大幅な減額です。実際、多くの会社がここで再リースを選びます。
ただ、ここで見落とされるのが保守契約は満了しないという点です。カウンター保守は機械を使い続けるかぎり続きますし、単価も基本的には変わりません。つまり実際に毎月出ていく金額は、再リース料とカウンター料金の合計になります。
入れ替えた場合と並べてみる
月間カラー1,500枚+モノクロ3,000枚という印刷量で比べます。
| 項目 | 再リースで1年延長 | カウンター料金0円機に入れ替え |
|---|---|---|
| リース料・再リース料 | 2,500円 年30,000円(月額の2ヶ月分) |
9,200円 |
| カウンター料金 | 26,850円 そのまま続きます |
0円 |
| トナー代 | - カウンターに含まれます |
8,370円 |
| 実質の月額 | 29,350円 | 17,570円 |
| 月額差 | - | 11,780円 |
※月間カラー1,500枚+モノクロ3,000枚、カウンター単価カラー14円・モノクロ1.95円、現行リース料15,000円で試算。再リース料は契約月額の2ヶ月分で1年延長とした場合の月割です。カウンター料金0円機はHP E786dn(リース9,200円・トナー単価カラー4.6円/モノクロ0.49円)を例とした概算です。※6年(72ヶ月)契約の場合。出張保守は5年間(60ヶ月)が含まれ、61ヶ月目以降の修理はスポット対応(実費)になります。実際の金額は機種・利用状況・契約条件により異なります。
月額差は11,780円、年間では141,360円です。1年延長すると、この分だけ多く払うことになります。
さらに付け加えると、撤去とデータ消去の費用は1年後にも同じように発生します。再リースは費用を消すのではなく、先送りにしているだけです。
それでも再リースが合っているケース
ここまで再リースの数字を細かく見てきましたが、再リースが正しい選択になる場合もあります。次のような状況です。
- 印刷枚数がもともと少ない。カウンター料金が小さければ、上の差は大きく縮みます。月に数百枚程度なら再リースのほうが安く収まります
- 移転や組織変更が1年以内に控えている。動きが確定してから機械を決めたほうが、二度手間になりません
- いま機械を入れ替える余裕がない。移行作業には設定やネットワークの手間がかかります。繁忙期と重なるなら、1年ずらすのは現実的な判断です
- 機械の状態が良く、業務にも合っている。使い慣れた機械を変えないことの価値は、金額に表れない部分にもあります
お伝えしたいのは「再リースを選ぶな」ということではなく、2,500円ではなく29,350円という数字を見たうえで選んでくださいということです。そのうえでの再リースであれば、合理的な判断です。
3. 返却するとき、何を見られるのか
通常使用の範囲の摩耗であれば、追加請求は基本的にありません。問題になるのは付属品の欠品と、通常使用を超える損傷です。 返却を選んだ場合、リース会社または販売店が機械を引き取りにきます。このとき確認されるのは、おおよそ次のような点です。
- 本体と付属品が揃っているか。給紙カセット、フィニッシャー、電源コード、マニュアルなど。特に増設トレイやキャビネットは設置時のまま残っているかを見られます
- 通常使用を超える損傷がないか。外装の擦れや色あせは通常使用の範囲ですが、転倒による破損、水濡れ、改造などは対象外になることがあります
- 本体が動作するか。電源が入り、カウンターが読めるか
返却前に社内でやっておくべきことは、意外に少なくありません。
- アドレス帳・宛先リストの削除(次章で詳しくご説明します)
- 本体に保存されたスキャンデータ、FAX受信データの削除
- ユーザー認証の設定解除、管理者パスワードの扱いの確認
- ネットワーク設定(IPアドレス、共有フォルダの認証情報)の削除
- 用紙・トナーの抜き取り。開封済みトナーの扱いは引き取り業者に確認してください
とくに見落とされやすいのが、共有フォルダのスキャン送信設定です。ここには社内サーバーのパスが入っていることがあり、場合によってはアカウント情報も保存されています。機械を手放す前に必ず消してください。
4. 中に残った情報を、どう消すのか
複合機には印刷・スキャン・FAXのデータが内部ストレージに残ります。手放すときは、消したという記録まで残すのが確実です。 業務用複合機は、通した書類のデータを内部のHDDやSSDに一時保存する構造になっています。通常は上書きされていきますが、機械を手放す時点で「もう何も残っていない」と言い切れる状態にしておく必要があります。
個人情報を含む書類を扱っていた場合、これは社内規程やお客様との取り決めに関わる話にもなります。個人情報保護法の観点からの管理ルールについては個人情報保護法と複合機セキュリティの要諦をご覧ください。
消去の方法は主に3つ
- 本体の全消去機能を実行する。多くの業務用機に、設定とデータをまとめて初期化する機能が搭載されています。運用中のデータ消去機能については複合機のセキュリティ機能ガイドで解説しています
- 上書き消去を行う。ストレージ全体に無意味なデータを書き込んで復元できなくする方法です。機種によって対応状況と所要時間が異なります
- ストレージを物理的に破壊する。取り外して破砕します。最も確実ですが、リース返却の場合は機械の一部を欠いた状態になるため、事前にリース会社の承諾が必要です
消去証明書を出してもらう
ここが実務上いちばん大事な点です。消去したという事実を、書面で残してください。
データ消去を業者に依頼した場合、対象機器の型番・製造番号・消去方式・実施日を記載した消去証明書を発行してもらえます。これがあれば、後日「あの複合機のデータはどうなっているのか」と問われたときに答えられます。監査や取引先からの照会に対しても、口頭の説明とは重みが違います。
証明書を出せるかどうかは業者によって異なります。引き取りを依頼する前に確認してください。「消しておきます」という口頭の約束だけで機械を渡してしまうと、あとから確かめる手段が残りません。
5. 撤去・搬出で追加費用が出るケース
撤去費用とデータ消去費用は、合わせて3万〜5万円程度が相場です。ただし搬出経路によっては、ここに上乗せが発生します。 返却や入れ替えの際にかかる撤去・搬出とデータ消去の費用は、おおむね3万〜5万円程度が目安です。機械1台あたりの金額で、契約や業者によって幅があります。
この範囲に収まらないことがあるのは、次のような場合です。
- エレベーターに載らない。階段での人力搬出になると、作業人数が増えます
- 搬出経路が狭い、または段差がある。分解搬出が必要になることがあります
- クレーンや養生が必要。窓からの吊り下ろしが発生するケースです
- 夜間・休日の作業。ビルの搬入出時間が指定されている場合に多く、割増になります
- ストレージの物理破壊を依頼する。上書き消去より費用がかかります
入れ替えの場合、この撤去費用が新しい機械の契約に含まれていることもあります。見積書に撤去費用の記載があるかどうかを確認してください。記載がなければ、後から別途請求される可能性があります。
入れ替え作業そのものの進め方と、移行時に起きやすいトラブルについては複合機の入れ替え(リプレース)で失敗しないためににまとめています。
結論: 満了案内が届いたら、4つを並べて比べてください
リース満了は、契約を見直せる数少ないタイミングです。案内書面が届いたら、次の3つを確認してください。
- 再リースの実質月額(再リース料だけでなく、カウンター料金を足した金額)
- 撤去とデータ消去の費用(3万〜5万円程度。今払うか、1年後に払うか)
- 消去証明書を出してもらえるか(引き取り前に確認)
そのうえで、印刷枚数が少ない、あるいは1年以内に移転が控えているのであれば再リースが合っています。毎月まとまった枚数を印刷しているのであれば、月額を下げる方向で考えたほうが早く楽になります。
買い替えのタイミングそのものの判断方法は複合機の買い替え時期は「年数」では決まらないで、リース契約の仕組みと満了時の扱いはコピー機・複合機のリース契約完全ガイドでご説明しています。入れ替えを検討される場合の候補としてはHP E786dn カウンター料金0円モデルがあります。
満了の案内書面をお持ちであれば、再リースした場合と入れ替えた場合の金額を並べた比較表をお作りします。再リースで進めるという結論になってもかまいません。
複合機の廃棄・リース返却に関するよくある質問(FAQ)
Q1. 再リースの料金相場はどれくらいですか?
それまでの契約月額の2ヶ月分で1年間延長、という形が一般的です。月額15,000円で契約していた機械であれば、年間30,000円、月あたり2,500円になります。ただしカウンター保守は満了せずそのまま続くため、実際の毎月の負担は再リース料とカウンター料金の合計です。月26,850円のカウンター料金があれば、実質は月29,350円になります。再リース料だけで判断しないようご注意ください。
Q2. 複合機の撤去・処分にはいくらかかりますか?
撤去・搬出とデータ消去を合わせて、1台あたり3万〜5万円程度が目安です。ただし、エレベーターに載らず階段搬出になる場合、搬出経路が狭く分解が必要な場合、クレーンでの吊り下ろしが必要な場合、夜間・休日作業になる場合は、これに上乗せが発生します。入れ替えの場合は新しい契約に撤去費用が含まれていることもあるので、見積書に記載があるかご確認ください。
Q3. 複合機を返却する前に、データは自分で消すべきですか?
はい、必ず消してください。複合機は印刷・スキャン・FAXのデータを内部ストレージに保存する構造になっています。あわせてアドレス帳、FAX受信データ、ユーザー認証設定、ネットワーク設定も削除が必要です。特に見落とされやすいのがスキャン送信先の共有フォルダ設定で、社内サーバーのパスや認証情報が残っていることがあります。業者に依頼する場合は、消去証明書を発行してもらえるか事前にご確認ください。
Q4. 消去証明書とは何ですか? 必ず必要ですか?
対象機器の型番・製造番号・消去方式・実施日を記載した、データ消去を実施したことを証明する書面です。法律で義務付けられているものではありませんが、後日「あの複合機のデータはどうなったのか」と問われたときに答えられる記録になります。個人情報を扱う業務であれば、監査や取引先からの照会に対して口頭の説明とは重みが違います。発行の可否は業者によって異なるため、引き取りを依頼する前にご確認ください。
Q5. 返却時に追加請求されることはありますか?
通常使用の範囲の摩耗や外装の擦れであれば、基本的に追加請求はありません。問題になりやすいのは、給紙カセット・増設トレイ・フィニッシャー・電源コードといった付属品の欠品と、転倒による破損や水濡れなど通常使用を超える損傷です。設置時の構成のまま揃っているかを事前に確認しておくと安心です。判断基準は契約によって異なるため、契約書の返却条項もあわせてご確認ください。
Q6. 再リースと入れ替えでは、どちらを選ぶべきですか?
印刷枚数によります。月に数百枚程度であればカウンター料金が小さいため、再リースのほうが安く収まります。また、1年以内に移転や組織変更が控えている場合や、繁忙期と移行作業が重なる場合も、再リースで1年ずらすのは合理的です。一方、月間カラー1,500枚+モノクロ3,000枚のような印刷量であれば、カウンター料金0円機への入れ替えとの差は月11,780円、年141,360円になります。この場合は入れ替えを検討する価値があります。



