- リースの複合機には、多くの場合リース会社が動産総合保険を掛けています。ところが、そのことを知っているお客様はほとんどいません。
- 保守で直るのは「通常の使い方の中で起きた故障」です。集中豪雨による水没や落雷、盗難などの天災や事故は、保守ではなく保険の範囲になります。
- 自分で動かして倒した、使用が禁止されている用紙で壊したなど、お客様の過失による破損は対象外になることが多いので注意が必要です。事故が起きたら、写真を撮ってリース会社に連絡してください。
「集中豪雨で事務所に水が入って、複合機が動かなくなりました」。こうしたご連絡を受けたとき、まず確認するのは保守契約ではありません。リース契約に付いている保険です。 私たちは秋葉原の複合機専門店として、業界で40年近くリースの複合機を扱ってきました。その中で、リースに保険が付いていることをご存じのお客様は、ほとんどいらっしゃいませんでした。 このコラムでは、保守と保険の違い、実際に保険が使えたケースと使えなかったケース、そして事故が起きたときに何をすればよいかをお伝えします。
1. リースの複合機には、多くの場合保険が付いている
リースの複合機の持ち主はリース会社です。そのため、多くの場合リース会社が物件に動産総合保険を掛けており、その保険料はリース料の中に含まれています。 リース契約では、複合機の持ち主はお客様ではなくリース会社です。リース会社は自社の財産を守るために、リースしている物件に「動産総合保険」を掛けているのが一般的です。保険料は毎月のリース料に含まれているため、お客様が別に保険料を払っている感覚はありません。
そのため、保険が付いていること自体をご存じないお客様がほとんどです。けれども、いざ天災や事故で複合機が壊れたとき、この保険があるかないかで負担は大きく変わります。まずはお手元のリース契約書で、保険の有無と内容を確認しておくことをおすすめします。保険の内容や自己負担の金額は、リース会社や契約によって異なります。リース契約の基本的な仕組みはリース契約完全ガイドでご説明しています。
2. 保守で直るもの、保険で補償されるもの
保守は「通常の使い方の中で起きた機械の故障」を直すための契約です。天災や事故、盗難のように、外から起きた出来事による損害は、保守ではなく保険の範囲になります。
| 起きたこと | 対応する契約 |
|---|---|
| 普段どおりに使っていて部品が故障した、紙詰まりが直らない | 保守 |
| 集中豪雨や水漏れで水をかぶった | 保険(保守では対応しない) |
| 落雷で動かなくなった | 保険 |
| 盗難にあった、火災で焼けた | 保険 |
| 自分で動かして倒した、使用禁止の用紙で壊した | 原則としてどちらも対象外(4章参照) |
| パソコンと複合機をつなぐ設定をしてほしい | どちらも対象外(設定作業は別途) |
特に誤解が多いのが水没です。「保守に入っているから直してもらえる」と思われがちですが、水をかぶって壊れた複合機は、保守の対象になりません。また、意外なところでは、パソコンに複合機を使うための接続設定も、保守の対象外です。保守は機械の故障を直すための契約で、設定作業は含まれていないのが一般的です。
保守契約の仕組みそのものはリースと保守の関係、保守の種類の違いはカウンター保守とキット保守でご説明しています。
3. 実際に保険が使えたケース。集中豪雨と落雷
私たちのお客様でも、集中豪雨による水没や、落雷による故障で、保険の補償を受けられたケースがあります。
集中豪雨で、事務所に水が入った
集中豪雨で事務所に水が入り、複合機が水をかぶって動かなくなったお客様がいらっしゃいました。水没は保守では対応できません。そこでリース契約の保険を使い、全額ではないものの、補償を受けることができました。保険のことを知らなければ、修理や入れ替えの費用をすべて自社で負担するところでした。
落雷で、複合機が故障した
落雷が原因で複合機が故障したケースでも、保険の対象になりました。雷による過電流は、機械の中の電子部品を壊してしまうことがあります。こうした外から起きた出来事による故障は、保守ではなく保険の出番です。
どちらの場合も、全額が補償されるとは限りません。保険には自己負担の金額が設定されていることが多く、補償の範囲も契約によって異なります。それでも、保険があると知っているかどうかで、負担は大きく変わります。
4. 対象外になりやすいのは、お客様の過失による破損
お客様の過失によって壊れた場合は、保険の対象にならないことが多いので注意してください。 保険は何でも補償してくれるわけではありません。対象外になりやすいのは、次のようなケースです。
- 自分たちで複合機を動かそうとして、倒して壊してしまった:業務用の複合機は重く、重心も高いため、慣れない人が動かすと倒れることがあります。
- 使用が禁止されている用紙で印刷して、壊してしまった:粘着性のある用紙など、メーカーが使用を禁止している用紙を通すと、内部の部品を傷めることがあります。
- 長く使ううちに傷んだ:経年による劣化や消耗は、保険ではなく保守や入れ替えの範囲です。
どこまでが補償の対象になるかは、保険の約款によって異なります。迷ったときは自分で判断せず、リース会社に確認してください。複合機を移動したいときは、自分たちで動かさず、業者に相談するのが安全です。
5. 事故が起きたときの流れ。写真と記録が決め手
事故が起きたら、まずリース会社に連絡し、何が起きたかをできるだけ細かく伝えます。写真は必ず必要になると考えてください。 保険を使う機会はめったにないため、何をどう報告すればよいか分からない、というお客様がほとんどです。次の流れを覚えておくと安心です。
- 写真を撮る:壊れた複合機と、周りの状況(水が入った跡、焦げた跡など)を、片付ける前に撮影します。保険の手続きでは、写真が必ず求められると考えてください。
- リース会社に連絡する:保険の窓口は、リース会社になっていることが多いです。保険会社と直接やり取りする場合もあります。
- 起きたことを細かく伝える:いつ、どこで、何が起きて、複合機がどうなったか。できるだけ具体的に伝えるほど、手続きは進めやすくなります。
- 天候が原因なら、気象データを用意する:集中豪雨や落雷が原因の場合は、気象庁が公開しているその日の気象情報を控えておくと、説明の裏付けになります。
壊れた複合機を、連絡する前に処分したり、別の業者に修理を頼んだりしないようにしてください。手続きに必要な確認ができなくなるおそれがあります。保守の業者には故障の状況を見てもらい、保守の範囲か保険の範囲かを一緒に判断してもらうとスムーズです。
6. 直せないほど壊れたとき、リース契約はどうなるか
複合機が直せないほど壊れても、リース契約は原則として自動的には終わりません。残りの支払いの扱いを、リース会社と相談することになります。 リース契約は途中でやめられないのが原則です。複合機が使えなくなった場合でも、残っているリース料の扱いについて、リース会社と話し合う必要があります。保険の補償がこの支払いに充てられることもありますが、すべてがまかなえるとは限りません。具体的な扱いは、リース契約書の規定と保険の内容によって決まります。
新しい複合機を入れる場合は、残りの支払いと新しい契約の関係を整理してから判断することが大切です。入れ替えの判断の仕方は複合機の買い替え時期は「年数」では決まらないで、入れ替えの進め方は複合機の入れ替え・移行ガイドでご説明しています。
結論: 保険があることを知っておくだけで、慌てずに済む
リースの複合機には、多くの場合保険が付いています。保守は通常の使い方の中で起きた故障を、保険は天災や事故、盗難による損害を受け持ちます。この違いを知っているだけで、いざというときの判断が早くなります。
今のうちにやっておきたいのは、リース契約書で保険の有無と内容を確かめておくこと。そして、もし事故が起きたら、片付ける前に写真を撮り、リース会社に細かく伝えること。自分で動かして倒す、禁止された用紙を使うといった過失は補償の対象外になりやすいので、日頃の使い方にも気をつけておきましょう。
複合機リースの保険に関するよくある質問(FAQ)
Q1. リースの複合機には保険が付いているのですか?
多くの場合、リース会社が物件に動産総合保険を掛けており、保険料は毎月のリース料に含まれています。ただし、保険の有無や補償の内容、自己負担の金額はリース会社や契約によって異なります。お手元のリース契約書で確認しておくことをおすすめします。
Q2. 水没した複合機は保守で直してもらえますか?
いいえ、水没は保守の対象外です。保守は通常の使い方の中で起きた故障を直すための契約です。集中豪雨や水漏れで水をかぶった場合は、リース契約に付いている保険の対象になる可能性があるので、写真を撮ってリース会社に連絡してください。
Q3. 自分で複合機を移動して壊してしまいました。保険は使えますか?
お客様の過失による破損は、保険の対象にならないことが多いです。補償の範囲は保険の約款によって異なるため、まずはリース会社に状況を伝えて確認してください。複合機は重く倒れやすいため、移動が必要なときは業者に相談するのが安全です。
Q4. 保険を使うには、何を準備すればいいですか?
壊れた複合機と周りの状況の写真は、必ず必要になると考えてください。片付ける前に撮影しておくことが大切です。あわせて、いつ、どこで、何が起きたかを細かく記録しておきます。豪雨や落雷が原因の場合は、気象庁が公開しているその日の気象情報を控えておくと、説明の裏付けになります。
Q5. パソコンの接続設定は保守でやってもらえますか?
一般的に、パソコンに複合機を使うための接続設定は、保守の対象外です。保守は機械の故障を直すための契約で、設定作業は含まれていないことがほとんどです。設定をお願いする場合の扱いは、業者に事前に確認してください。

